合格者を示すのが目的ではなく”数学の勉強”について知らせるのが目的です。本年度も他にもいろいろなケースの合格者がいるのですが、親子共々私の生徒で個別指導のみで合格した生徒が合格体験記を書いてくれたので掲載します。併せて”数学の勉強について考えている方へ”も掲載します。
成田航平 【東京大学 文科一類】
塾に通い始めた頃の僕は、定期テストの点はとれるが模試では点がとれないという典型的なダメ学生でした。定期テストは数学ではなく、教えられた手順を何も考えずに繰り返すだけ(そうではない学校もたくさんあるだろうが)なので点はとれるが、模試ではそうはいかない。いわゆる数学的思考力のようなものが足りなかったのである。本質的に数学を考える力を補完できるのがこの塾だと僕は思っています。
当初はわからない問題を2時間も3時間も考えさせられたこともありました。その時は木須先生を恨みましたが(すいません笑)、振り返ると、わからない問題を徹底的に考える経験こそが自分に足りなかったものだと気づきました。通常の塾では、講師が生徒の自力では再現不可能な鮮やかな解答を披露する中、生徒が解説の途中で疑問を持っても授業は進んでしまう光景が多く見られる。自分を含めた、数学が苦手な人にとって必要なのはそういった環境ではなく、「最初から最後まで全て自分で考え抜いた」という経験だと思います。どうしてもわからない時は先生が絶妙なヒントをくれたり、類似問題を提示してくれるのは個別指導だからこその利点です。先生の熱い指導もあって大の苦手な数学を東大受験生の平均程度まで上げられたことで、自分は志望を実現することができました。この塾でならったことは数学だけに反映されたわけではなく、現代文などは用いている記号が違うだけで数学と本質は同じで、論述式の問題が多い東大の問題では論理的に解答を整理する必要があり、この塾で培った思考力は大きな手助けになりました。大学に入ってからもディスカッションやプレゼンテーションの機会で数学的思考力が役に立っています。僕のことを最後まで面倒を見てくださった木須一郎先生に心より感謝申し上げます。
【木須先生のコメント 数学の勉強について考えている方へ】
私は今まで塾、学校、予備校でかむしゃらに授業をした。振り返ってみて、誤ったことをしたとは思わないが、あまりにも授業だけで上手くいっていると誤解していたと思う。つい最近、教え子だった教員から、私のことをアクティブな先生と称し、本校の数学教育に関して助言して欲しいと話しがあった。個別指導を始めて20年近くになろうとしている。今、私は教育について異常によく考える。できれば学校の先生に読んでもらえればと思い、以下に書きました。
勉強しないでできないのは当然だが、勉強してできないのは我々先生に問題があるのではないか?小学生時代にすらかなり勉強していた中学校受験を経てきた生徒の算数の勉強の仕方は問題のパターンを覚え、それを使っていく。当然基礎事項は必要だが、問題が重要になってくる。例えば算数のつるかめ算のように、この問題はこのように解くというように、ひとつひとつ問題の解き方を塾で習う。これが数学の誤解の始まりである。中学生以降になると問題を数学の道具(方程式、関数…など)を導入することによって小学校より楽に(楽とは思っていない人が多い)また、より幅広い問題まで解けるようになっていく。まず学校の授業で伝えてもらうことは、中学受験的(小学生的)な考えでは限界があり、応用性がないこと。更に中学校以後の知識がどうして必要なのかをということ。
中3なのに食塩水の問題を面積図を描いて解くのを見たことがある。中学受験でよほど多く練習したのだと思うが、あまりにも幼稚である。数感覚(自然数→小数→分数とレベルが上がっていく)が良くて(中学入試は合格できる)文字感覚

が悪い子ほどこの幼稚さがでる。
この文字感覚(自分で考え処理しなくては身につかないと思う)更には大学受験で新しい概念(ベクトル、複素数…など)の使用と共に大事な問題である。始めに戻るが、問題が重要、すなわち解き方を覚えるのが中学、高校と続いていくと数が違うだけで、恐ろしいくらい全く同じ問題しか解けない。一概に棒暗記というわけではないのは困ったことで、どうも人間の頭には写真機的能力があり、解答がずうっと見えてくるのである。ただこれは長くもたないもので、近いうちにほとんど同じ問題がでる学校の中期、期末テストぐらいは何とかなる。日が経ってしまえば、覚えていても一行(一手)問題くらいしか解けなくなってしまう。これでは大学受験では上手くいかない。学校では基礎事項の説明、定理の証明、定理の使い方を教え、残った時間で演習(復習的なものではなく)をやってもらいたい。教科書の例題ですら正解を発見して解けたというのがいい。当然人によって一手ものしか解けない人、二手、三手となっても解ける人となってしまうので、問題はレベル1.2.3.と用意しなければならない。どんな人でも待ってあげるのが一番。下手なりにも自力で解けることが力となり、レベルが上がっていく。
学校によってはチャート式の例題すら全部授業で解説し、教科書よりレパートリーを広げさせているのを見る。いくらレパートリーを増やしても切りが無いのが数学である。こういう学校にとんでもない子を見る。

しかし何も言わなければ一人で通しでできず、挙げ句の果てに教科書をペラペラめくり類似内容を見つけ変なことをして1時間以上かけて0点状態である。今、彼には基礎事項より素朴に解く練習をしている。
基礎事項から問題を解く。どうしても解けない時、ここは覚えておかなくては解けないな!というのが理想である。今年のセンター数ⅡBは例年通り量は多かったが、かつてないくらい簡単で80点くらいは楽にとれるテストだと解いた後に思った。しかし平均点が40点くらいだったとのこと。通しで同じ問題は問題集にはないが、言われたとおりひとつひとつ解いていけば(先のことは考えない…大変難しい)実に簡単である。問題を覚えて解いていく人(方針を立てるとか、何の問題と考えるとか外見的に判断するとか数学を復習のみでする人)ができなかったのだと思う。
次にセンターはできたけど誘導のない2次私大の問題ができない人がいる。ひとつひとつ言われると解けるが誘導が少ないと解けない。当然大変なことだが、上手い方法はない。普段からあれだこれだと頭を回す習慣が必要である。大学受験生(浪人)で秋口までずっと復習的な勉強をしてしまった人がいる。浪人なので複素平面は未習。まず教科書をやらせて、その後に問題集を解かせた。1問に3日かかったこともあり、何度となくノートにXを書く、1問に10ページぐらい使うこともあった。普通こんなには待たないのだが、この子には数学の訓練として良いと思った。基礎事項と若干の覚えておくと楽なポイント問題を解くという大変良い練習となり、ようやく考える勉強になったねと本人に言った。どの分野でではなく数学なのである。少し経って模擬試験でもようやく成績が上がり、つい最近私大の医学部で9割方でき、今年は今まで不得意だった数学で合格したと言ってきた。覚えている問題を解いていくのは数学の勉強になっていない。先生からすると忘れていることが多いから復習させるのでしょうが、復習することが同じ形のものしか解けなくさせている。(逆に英語はそれがいいと思う。)数をこなして練習していくより、ひとつをじっくり解いた方が数学は残るし、結果的には時間が少なくてできるようになると思う。
国立の入試前日に最後としてやってきた学生が帰り際に「数学が苦手だったという状態から通い始めましたが、数学のおかげで考える習慣が身につき、他の科目では味わえない事を得て、全てに役立った」と言った。私自身、数学は数学のためにあるのではないといつも言っているので特に文系の人からそう言われると、正直いって嬉しかった。卒業者、入塾者が多い今、これを書いているのだが、予備校に何年も通っている人で予備校のテキストを持ってきた。復習もよくしていそうだから一問拾って解かせてみた。すごく丁寧な解答ができ、当然満点なのだが学生らしくない解答が気になり、私の問題集からほとんど同じ内容で同レベルの式が違うだけの問題を解かせたら、めちゃくちゃだった。その話しを29年目に夢が叶って医学部へいけますと言ってきた今年の卒業生にすると「私も予備校に通っている時「3度復習しなさい」と言われ、実行し、いざ本番になると少し違っていただけで戸惑い、いつもテストでは上手くいかなかった」と言った。予備校で上手くいく人もいると思うが、数学力のない特に真面目な女の子にこのタイプが多い。彼女にも人一倍苦労して数学をやらせた。その彼女は考える習慣が身につき伸び悩んでた化学までできたと言った。私は考える方法を教えている訳ではなく、考えさせているだけで、ただ待っているだけです。今年は特に高校入試の生徒にも同じ事を言われ、逆に言うといかに世の中が考えない習慣が多くなったのかと思います。29年目の彼女が仕事場で決まった仕事をいかに早く終えるかという事を言われたという言葉が残っています。
数学の大学受験は知識の大小を問うのではなく数学的ものの考え方の大小である。いつまでたっても楽にはできないので、普段から諦めない持久力を養っていくことである。これからの入試は難しくはなく、覚えるものも少ない、ただ単純ではない問題が主役になると思います。
最後に私の教え子で数学の教師をしている人から電話があった。入試前なので毎日夜9時ごろ迄生徒に付き合っていると言っていた。こういう人が増えていけば塾や、予備校はなくなるでしょう。






